第4号 発行日 平成20年11月7日
発行者 全農長野県本部  本部長 竹内 守雄
        大北農協協同組合 組合長 西山 隆芳
北安曇郡白馬村大字北城15917-12  TEL 72-2716
http://www.hakubanobuta.com/

今年もいよいよ押し迫り、何かと気ぜわしいこの頃となりましたが、皆様におかれましてはご健勝のこととお喜び申し上げます。 また、平素よりはくばSPF豚農場につきまして、格別なご理解と御協力を賜り厚く御礼申し上げます。

第10回はくばSPF豚畜産環境対策協議会が開催

真冬並みの大雪が降る中、11月19日(水)夕方6時から白馬村役場会議室において協議会が開催されました。
協議会の活動状況、臭気調査結果、JA大北と全農からは、第9回協議会で承認された環境対策の取り組み状況及び今後の取り組み方針などを説明し、質疑の後、了承を得ることができました。

協議会の概要

■構成員

2008/11/19 協議会の様子▼会長 北安曇地方事務所長
▼副会長 白馬村長・小谷村長
▼相談役 宮澤敏文県議
▼両村議会代表
▼両村住民代表
▼事務局 北安曇地方事務所、白馬村、小谷村

■目的

臭気等の環境問題に係る事業者と地域住民の協議の場を設定し、行政機関による情報提供と技術指導等により当事者間の合意形成を支援する

第9回協議会で提案し承認された「環境対策」の取り組み状況

  1. 20年5月までに活性炭脱臭装置を増設
  2. 消臭ネットなどの資材も活用
  3. 脱臭剤を効果的に活用
  4. 環境ウォッチャーと共に環境対策
  5. 臭気調査結果に基づき、行政からのご指導のもと、対策を実施
  6. 「農場だより」による情報開示

(取り組み状況の詳細は11月7日付けで発行した「農場だより第4号」に掲載しております。 また、これまでの協議会の議事録は事務局(地方事務所環境課、白馬村、小谷村)にございますので、ご希望があればお申し出ください。)

委員の皆様からのご質問やご指摘

Q. 活性炭脱臭装置の活性炭の交換頻度について
委員 活性炭はどれくらいもつのですか。
事業者 季節や設備の大きさにもよりますので一律の基準はありませんが、臭気の状況により適宜、活性炭を交換しています。

[補足]活性炭は堆肥舎や豚舎は2ヶ月に1回程度、浄化槽は毎月交換しています。

Q. 臭気の状況について
委員 8月に2日続けて臭気を感じたときがありました。そういうことがあると、それまで臭気が少なくても臭いがあると感じてしまいます。
事業者 臭気の程度が下がってきたからと言って対策が終わりということではありませんので、新しい技術も導入しながら対策を行っていきます。

[補足]第9回協議会で承認された臭気軽減の目標である臭気強度2(何のにおいか分かる弱い臭い)以下で、長く続かないよう努めています。

委員 夜に臭気を感じるときがありますが、夜に作業をしているんですか。
事業者 夜に作業を行うことはありません。気象条件によって臭気の固まりができ、それが夜間に漂うのではないかと思います。

Q. 堆肥の活用について
委員 農場から出る資源はどう活用されていますか。
事業者 堆肥の分析結果は良好で、地域の皆様からも使いたいと要望が多くありますので、(地域農業の振興のために)還元していきたいと考えています。

Q. 農場のあり方について
委員 畜産、養豚の環境が変化している中、施設を見直すことはお考えではありませんか。
事業者 (臭気の問題は) 0か100かでは結論がつかないことだと思っています。今、畜産が大変な状況ですが、このSPF農場を基幹的な農場として維持・発展させたいと考えておりますので、格段のご理解をいただきたいと思います。

[補足]本県の食の安心・安全や、食肉の地産地消を実現するためにも、市場の評価の高い、はくばSPF豚農場の重要性は高いと考えております。

今後の環境対策

前回協議会で承認され実施した環境対策を踏まえ、下記の環境対策を提案し、本協議会でご承認いただきました。

JA大北・全農が行う今後の環境対策について

農場設立の基本的な考え方に基づき、地域住民の皆様への優良堆肥の供給を通じた有機農業の振興、優良食肉の生産を通じた地域の発展に寄与できるよう努力いたします。 また、行政の皆様からは引き続き適切なご指導を頂きながら、事業者として臭気対策に万全を期してまいります。

 周辺住民の皆様のご意見・ご要望をお聞きしながら、迅速な環境改善対策を実施していきます。
 当面の環境対策として、以下の取り組みを実施します。
 (1) 環境ウォッチャーの活動を継続します。
 (2) 活性炭による脱臭装置の安定稼働のために、定期的なメンテナンスに取り組むとともに、補充的な資材を利用し更に脱臭効果を高められるようにします。
 (3) 消臭資材のより効果的な活用を継続研究し、臭気のいっそうの軽減に努めます。
   1.「バイオ酵素」については、消臭効果も認められるため、場内で使用する水への添加を続け、臭気の軽減を図ります。
   2.マスキング剤を散布する「空気調和装置」の使用方法についても研究を重ねてまいります。
 周辺住民の皆様には、情報の定期的な開示と伝達のために、「農場だより」の発行を定期的に行います。
 周辺住民の皆様からのご要望により、地区懇談会で意見交換をさせていただきます。

協議会の運営に関する議論

協議会の行う臭気調査の方法や結果について質疑があり、事務局などから回答がありました。 直ちに臭いをなくすことが難しい中、一定の成果を認めつつも、協議会と平素からの触れ合いにより、地域合意に向けて努力していくことが改めて確認されました。

Q. 臭気調査の方法等について
委員 悪臭防止法で定められた22種類の悪臭物質の調査が必要ではないでしょうか。 また、現在の臭気調査は6段階方式ですが、においの快・不快という要素も加味される9段階表示法で調査をしてはいかがでしょうか。
委員 臭いや気象の専門家や学識経験者を協議会に入れていただきたいと思います。
事務局 臭気調査に当たっては、長野県環境保全研究所の研究員による指導で(臭気調査担当者全員による)臭気強度の確認も行っています。専門家への依頼については、来年に向けて検討します。

[補足]畜産臭気対策の専門家を臭気対策プロジェクトチームのメンバーとし、アドバイスを受けています。

委員 マスキング剤のにおいは不快に感じました。臭気にマスキング剤の使用はやめていただきたいと思います。
事務局 臭気の発生をゼロにする即効的な決め手に欠く現状にあっては、試す価値はあるのではないかと考えています。今後、濃度を薄めて散布するなど、継続調査したいと思います。
環境ウォッチャー これまでに全地区回りましたが、マスキング剤のにおいが不快だとは初めて聞きました。これからそういう意見があることも踏まえて参りたいと思います。

[補足]マスキング剤の使用に関しては、住民代表もメンバーとなっている臭気対策プロジェクトチームで試用の決定がなされ、散布を行いました。

Q. 臭気軽減の目標について
委員 臭気軽減の目標を「臭気強度2以下」として取り組まれてきましたが、もっと高い目標にすべきではないでしょうか。
事務局 前回の第9回協議会で、事業者から臭気強度2(何のにおいか分かる弱いにおい)以下という目標が提示され、承認されたものです。この数値は、悪臭防止法で規制が必要となる場合、臭気強度2.5から3.5の間で規制値を決めることになっており、それよりも低い目標となっています。
委員 法律が示す程度に抑えればいいということですか。
相談役 住民代表も出席した前回の協議会で、臭気強度2以下というひとつの基準を決めて、その努力をみんなでしてきたということです。

Q. 住民と事業者の意識の差を埋めるために
委員 住民と事業者の間に意識の違いがあると思いますが、それをどう埋めていけばよいのでしょうか。
会長 この話し合いをしていくことが意識の違いを埋めるための努力だと思います。直ちに臭いをまったく感じないようにするのは難しい状況ですので、どれだけ、どこまでやれるか努力を続けていく段階だと思っています。
環境ウォッチャー 臭気調査の日程は周知していますので、住民にも調査に参加してもらいたいと思います。(環境ウォッチャーは中立の立場で活動していますが、)住民が参加すれば、調査結果が正しいことを分かっていただけると思います。

環境対策のための各主体の役割が確認されました

協議会委員、環境ウォッチャー、事業者など、SPF農場の環境対策を進めるための各主体の役割が整理されて、下段の図(チャート)のとおり協議会において確認されました。 事業者としてもこのチャートにのっとり、環境対策に取り組んでまいりますので、皆様の更なるご理解・ご協力をお願いいたします。

■住民の皆様へのお願い

チャートの中の「住民」から「事業者」に向け、「(住民代表又は村を通じて)要望」とあります。住民の皆様から環境対策についてご要望がございましたら、まず、各地域の住民代表委員か村にご相談いただきますようお願いします。こうしたご要望に対応し、地区懇談会などでご説明させていただきます。
なお、臭気の苦情に関しましては、農場のご意見承り専用電話(080-1330-0974 つながらない時はJA大北本所営農部・0261-22-1842)まで直接ご連絡ください。